光トポグラフィーについて
光トポグラフィー検査(NIRS)とは、近赤外線を用いて、脳の血流量(ヘモグロビン濃度)の変化を測定し、うつ症状の背景疾患などを探る検査です。この客観的指標による評価で、うつ病(大うつ病性障害)・躁うつ病(双極性障害)・統合失調症のいずれの可能性が高いかが示唆されます。ただし、結果は確定診断ではなく、あくまで臨床症状にもとづく鑑別診断の補助として用います。
(注)この検査は診断の確定や治療をするものではありません。
当院ではH26年5月より静岡県内初の光トポグラフィー検査導入を実現いたしました。今までは東京大学医学部附属病院や国立神経医療センターなど、東京まで検査を受けに行かなければなりませんでしたが、この度当院でも実施できるようになりました。H26年12月1日現在、静岡県内で他に光トポグラフィー検査を行っている医療機関はございません。
光トポグラフィー検査の精神科領域での効用
①客観的な指標
光トポグラフィー検査のデータに基づく脳機能評価
②診断の正確性
初診時や治療経過における診断の正確性を高める補助の一つとして利用できる
(大うつ病性障害と双極性障害の鑑別診断)
③治療の適切化
治療を適切に進める上で有用
(例:症状の早期改善、重症化予防、社会復帰促進など)
④病状理解の促進
当事者やご家族が理解しやすい視覚的な説明が可能
光トポグラフィー検査の対象者
現在、光トポグラフィー検査は希望者多数のため予約がとりづらい状況となっておりますが、ご希望の方はご連絡ください。
よくある質問
光トポグラフィー(NIRS)検査で何ができるのですか?
うつ症状の原因となる病気の診断の正確性を高めることができます。
光トポグラフィー検査は、あくまでも脳の働きを反映する血液量変化を知る検査であり、治療効果はありません。うつ病(大うつ病性障害)、躁うつ病(双極性障害)、統合失調症に罹患されている方の光トポグラフィー検査のデータと臨床症状に基づく鑑別診断の結果の一致率は、それぞれ約7~8割です。ただし、この検査のみで診断・治療方針は決定せず、検査結果は他の多くの情報と併せ、総合的に判断する際の臨床情報の一つとして活用されます。また、計測不良などで判定困難・判定不能となることもあります。
副作用や危険はありますか?
光トポグラフィー検査では、身体に害のない近赤外線光を使用するので、特記すべき副作用や危険性はありません。安全性は広く認められています。
光トポグラフィー検査で病気は治りますか?
光トポグラフィー検査は、検査であり治療ではありません。しかし検査結果から、より有効な治療法を見つけられる可能性があります。
検査にはどのくらい時間がかかりますか?
検査自体は基本的に15分程度ですみます。
検査を受けるにあたり、気をつけることはありますか?
検査の前日には十分に睡眠をとってください。もし検査中に眠気があると、正確な結果が出ない可能性があります。
検査当日の注意点はありますか?
服装については、普段どおりでかまいません。ただし、頭に検査装置を装着するため、整髪料や化粧は控えめにしてください。また、カツラなどについては、検査結果に影響が出る可能性があるため、検査時には外していただきます。
光トポグラフィーについてもっと知りたい方へ
●「光トポグラフィーがひらく未来」小泉英明フェロー前編
●医療情報システム研究室 光トポグラフィーグループ研究紹介
[その他:リンク記事]
●うつ症状、脳血流で見極め 適切な治療に道 (日本経済新聞)
●問い合わせが殺到!うつ病「見える化」診断 光トポグラフィー検査 (週刊ダイヤモンド)
●心の病気の診断を補助する光トポグラフィー(gooヘルスケア)
●光トポグラフィー検査…精神疾患 血液量で診断 (読売新聞)